この記事の結論
お金をだまし取られた直後など緊急性が高い場合は、警察相談専用電話(#9110)や消費者ホットライン(188)にご相談ください。事件性が高い場合は110番です。
投資詐欺の被害に遭ってから時間が経ち、「今から請求してももう遅いのではないか」と諦めかけている方は少なくありません。損害賠償請求には消滅時効という期間の制限がありますが、起算点(いつからカウントが始まるか)の考え方によっては、被害から年数が経っていても請求を検討できる場合があります。本記事では、投資詐欺に関する時効の基本的な考え方を解説します。
詐欺による被害金の請求は、一般に不法行為に基づく損害賠償請求として構成されます。民法724条は、この請求権について次の2つの期間を定めています。条文はe-Gov法令検索の民法で確認できます。
| 期間 | 起算点 |
|---|---|
| 3年 | 被害者が「損害および加害者を知った時」から |
| 20年 | 不法行為の時(だまし取られた時)から |
どちらかの期間が経過すると、相手方が時効を援用した場合に請求が認められなくなる可能性があります。
投資詐欺では、相手がハンドルネームしか分からない、業者の実体が不明といったケースが多くあります。判例上、「加害者を知った時」とは、賠償請求が事実上可能な程度に加害者の氏名・住所などを知った時と解釈されており、加害者が特定できていない間は3年の時効が進行しないと判断される余地があります。
ただし、起算点の判断は個別事情によって大きく分かれる論点であり、自己判断で「まだ大丈夫」と考えるのは危険です。時効が近い可能性がある場合は、早急に弁護士へ相談してください。
内容証明郵便などで請求の意思を通知(催告)すると、6か月間、時効の完成が猶予されます。その間に裁判上の請求などの手続きを取る必要があります。
訴訟の提起や支払督促などの裁判上の請求を行うと、時効の完成が猶予され、判決等で権利が確定すれば時効期間が更新されます。
相手が債務の存在を認めた場合(一部弁済や支払い猶予の申し出など)も時効は更新されます。やり取りは書面や記録に残る形で行ってください。
警察への被害届や刑事告訴は、それ自体では民事の時効を止める効果はありません。刑事と民事は別の手続きであり、捜査の進行を待っている間に民事の時効が進むおそれがあります。被害届の提出と並行して、民事上の請求の準備も進めることが重要です。警察相談の進め方は被害届の出し方と警察相談の流れで解説しています。
相手と連絡が取れなくなった段階の初動対応は、出金できなくなった場合の対処手順も参考になります。同種の被害者が多い事案では、費用や証拠を共有できる被害者の会・集団訴訟に参加する際の注意点もあわせてご確認ください。なお、被害金は税務上「詐欺」による損害として扱われ、確定申告の雑損控除の対象にはならないのが原則です。詳しくは投資詐欺の被害金は確定申告できる?雑損控除の考え方で解説しています。
A. 一概には言えません。加害者を特定できた時期が遅ければ、3年の時効がまだ完成していないと判断される余地があります。経緯を整理して弁護士にご相談ください。
A. 相手が債務を認めた事実は時効の更新につながる可能性があります。「返す」と言われた際の記録(メッセージ等)を保存しておいてください。
A. 起算点の評価は法的判断を伴うため、自己判断はおすすめできません。法テラスや弁護士会の法律相談で確認するのが安全です。
A. 別の制度です。詐欺罪(刑法246条、法定刑10年以下の懲役)の公訴時効は、刑事訴訟法250条2項4号により7年とされています(e-Gov法令検索の刑事訴訟法)。刑事の公訴時効が完成していても、民事の損害賠償請求が可能な場合があります(逆の場合もあります)。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。時効の成否や請求の結果を保証するものではありません。相談先に迷う場合は、法テラス(https://www.houterasu.or.jp/)、国民生活センター(https://www.kokusen.go.jp/)等の窓口をご利用ください。