仮想通貨詐欺 弁護士監修

USDT送金詐欺で確認すべきTxIDとウォレット情報

「USDTで送金するよう言われ、指定されたウォレットアドレスに送ったが、その後連絡が取れなくなった」「出金しようとしたら応じてもらえない」――そのような状況で、何をどう記録すればよいか迷っているかもしれません。まず追加の送金はいったん止め、送金の記録(TxIDとウォレットアドレス)をすぐに保存してください。個別の対処方針は弁護士や公的機関に確認することをお勧めします。

まず確認したい危険サイン

USDTを使った投資詐欺では、送金先が正規取引所のデポジットアドレスではなく、「担当者から直接教えられた」「専用アプリに表示された」個人管理のウォレットアドレスであることが多いです。正規のサービスではUSDTの入金先は取引所の公式サイトまたはアプリの「入金」ページから生成されるものであり、担当者が口頭やチャットで「このアドレスに送って」と伝えることはありません。

また、USDTにはTRC-20(TRONネットワーク)とERC-20(Ethereumネットワーク)など複数のネットワーク規格があります。詐欺的なサービスでは「TRC-20で送金してほしい」と指定されるケースが多く見られます。TRC-20はガス代(手数料)が低いため、大量送金が容易という特性があり、詐欺グループが好む傾向があります。送金の際にどのネットワークを使ったかも記録しておくことが重要です。

よくある手口:USDT送金を使った詐欺パターン

USDT(テザー)が詐欺に多用される理由は、法定通貨(円・ドル)に対して価格が安定しているため「投資の元本」として扱いやすく、被害者が「円をUSDTに換えて送った」という感覚を持ちにくい点にあります。また、ブロックチェーン上での送金は不可逆であるため、一度送金されると技術的な取り消しができません。

手口としては、まず国内取引所でUSDTを購入させ、「専用ウォレット」または「投資プラットフォームの入金アドレス」と称するアドレスへ送金させます。プラットフォーム上には「運用中の残高」が表示され続けますが、出金しようとすると「追加入金が必要」「税金の先払いが必要」「口座確認中」といった理由で引き延ばされます。最終的に担当者と連絡が取れなくなり、サービス自体も消えるパターンが典型的です。

「豚の丸焼き(Pig Butchering)」と呼ばれる手口では、長期間にわたってSNSや恋愛関係を築いた上で信頼させ、最終的に大きな金額をUSDTで送金させます。被害者が気づくころには、すでに多額の損失が発生していることが多く、送金履歴の証拠保全が特に重要です。

追加送金を求められた時の注意点

「USDTをもう少し追加すれば出金できる」「残高が基準額に達すれば解放される」といった要求が続いている場合は、その要求に応じないでください。USDTでの追加送金は、銀行振込以上に取り戻すことが困難です。

「担当者が自分の資金でポジションを維持してくれている」「特別な取引条件を用意してくれた」といった話も、信頼を演出して追加入金を促すための典型的な言葉です。どれだけ親切に見えても、行動パターン(追加送金の要求・出金拒否)で判断することが重要です。

相談前に残すべき証拠

TxIDとウォレット情報の具体的な確認・保存方法

TxID(トランザクションID)は、ブロックチェーン上の送金を一意に識別する文字列です。TRC-20の場合はTronScan(tronscan.org)、ERC-20の場合はEtherscan(etherscan.io)でTxIDを入力すると、送金日時・送金元アドレス・送金先アドレス・送金額が確認できます。この画面をスクリーンショットで保存し、URLもコピーしておきましょう。

国内取引所のマイページから「出金履歴」「送金履歴」を開くと、各送金にTxIDが表示されています。TxIDの文字列をテキストファイルにコピーし、対応するスクリーンショットと一緒に保存してください。取引所によってはCSV形式での履歴エクスポートも可能です。一括でダウンロードしておくと、複数回の送金を漏れなく記録できます。

送金先ウォレットアドレスは、ブロックチェーンエクスプローラーで検索することで、そのアドレスへの入出金の全履歴(他の被害者からの送金を含む可能性)を確認できます。同じアドレスへの多数の入金が確認される場合、捜査機関の資金追跡に役立つ情報になり得ます。

公的機関・弁護士相談の使い分け

TxIDとウォレットアドレスを記録したら、警察(#9110または最寄り警察署の生活安全課)への相談を検討してください。仮想通貨を使った詐欺は都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口でも受け付けています。被害届提出の際には、TxID・送金先アドレス・取引所の送金記録を一緒に提出することで、捜査の端緒となる場合があります。

弁護士への相談では、収集した証拠の内容を基に、法的手続きの可否や実現性を個別に確認することができます。仮想通貨送金の返金可否は、相手方の特定・送金額・証拠の充実度などの個別の事情によって異なります。金融庁の金融サービス利用者相談室(0120-156-811)でも、無登録業者への対応方法などについて情報提供を受けられます。

よくある質問

TxIDを使えばブロックチェーン上で送金先アドレスや送金額・日時を確認できます。ただし、ウォレットアドレスから実際の人物を特定するには、取引所が保有するKYC(本人確認)情報との照合が必要であり、これは捜査機関が令状を取得した上で行う手続きです。個人で相手を直接特定することは技術的・法的に難しいため、証拠を集めた上で警察・弁護士に相談することをお勧めします。

国内取引所の送金履歴にネットワーク種別が表示されていることがあります。また、送金先ウォレットアドレスの形式でも判別できる場合があります(TRONアドレスは「T」から始まる34文字、EthereumアドレスはEthereumは「0x」から始まる42文字)。取引所のサポートに送金履歴の詳細を問い合わせることも可能です。

アカウントを削除しても、ブロックチェーン上の送金記録(TxID・アドレス・送金額)はエクスプローラーで検索可能です。また、取引所は法令上、取引記録を一定期間保存する義務があるため、弁護士を通じた開示請求や捜査機関の照会によって記録の取得ができる場合があります。まずはTxIDと送金先アドレスを控えた上で、弁護士か警察に相談してください。
監修:松本 理平 弁護士(第一東京弁護士会/登録番号 55199/青山北町法律事務所)
投資詐欺・暗号資産詐欺に関する記事は、一般的な法律情報・証拠保全・相談前準備の観点から弁護士が確認しています。個別の返金可否は具体的事情により異なり、保証するものではありません。

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参考資料・相談先

  • 警察相談専用電話 #9110(緊急時は110番)
  • 消費者ホットライン 188 / 国民生活センター
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室(登録業者の確認)

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